日本のSTEM教育の現状

現在日本でも積極的に進められている「STEM教育」ですが、実際海外と比較した場合にその状況はどういった状況でしょうか。
結論から申し上げると日本のSTEM教育は海外から比べると大きな遅れをとっているのが現状です。
文科省では2016年4月に日本全国の小学校でプログラム教育の必修化を検討すると発表したにも関わらず、実際に導入される時期は2020年度からとかなり時間がかかってしまいました。
またあわせて指摘されているのが公立の学校のICT環境(インターネット環境)の整備が進んでいないというところもあります。
これは2020年から日本だけでなく世界的に流行した新型コロナウイルスの流行によって必然的に1人1台端末というのが促進(実現)されたという事はありましたが、やはりそれでもまだ学校によっては十分にインターネット環境が整備されていないという課題が残っています。

例えば生徒が一斉にインターネット接続をすると表示速度が遅かったり、回線が切れたりするケースが多数報告されています。
いくら指導案で動画を用いた授業を考えたとしてもインタネットが十分に使えない環境下ではデジタルを用いた授業を行うのは無理があります。高速で安定したICT環境の整備が必要です。
またICT環境以外にもそもそも専門的なスキルを持ち合わせた教員が不足しています。
例えば中学校や高校などで科学や数学などそれぞれに特化した教師は全国的に見ても数多くいますが、教科の区別なくSTEM教育を理解し生徒に授業が出来る教師は圧倒的に不足しているのが現状です。
今後は教師にもSTEM教育の根本を理解してもらい、着眼点を変えていく授業をおこなっていくことが求められていきます。

そして学校の環境だけでなく最大も問題ともいえるのが家庭や地域などの環境格差です。
学校で教育を受ける分には問題ないですが、家庭によっては自宅にインターネット環境がないというところもまだまだ沢山あります。そんな家庭に向けてモバイルルーターを貸し出したりしてますが、通信契約は各家庭負担のため費用がかかります。
これらは貧困世帯には大きな負担になり、回線契約を維持するのが難しいとされています。
つまり家庭のネット環境が整っていない状況では家庭学習にデジタル教育を導入する事は難しいでしょう。

国家レベルではSTEM教育の導入は当初の予定よりも大きく遅れておりますが、民間では様々な会社や機関がSTEM教育を念頭においたサービスや活動を開始しており、徐々にその数も増えていっております。

このページの上へ戻る<